節入り時刻と陽占の関わり
どのような人たちが節入り時刻で陽占が変わるのか、まずは具体例を見ていきましょう。そして節入り時刻がどのように陽占と関わっているのかを調べ、一般にどのような人たちが注意を要するかを明らかにしていきます。
誕生時刻で陽占が変わる人の例
これは男女無関係なので性別は指定しません。2001年4月14日生まれだとしますと陰占は下の表のようになります。この月の節入り日時は4月5日午前2時24分と天体暦から計算できます。この人の誕生日はその節入りから9日目ですね。ちなみに天体暦については以前「天文学の話題」で触れました。主に太陽系の天体の位置と運動を記したものだとお考えください。
日 | 月 | 年 | |
---|---|---|---|
天干 | 丁 | 壬 | 辛 |
地支 | 未 | 辰 | 巳 |
丁 | 乙 | 戊 | |
蔵干 | 乙 | 癸 | 庚 |
己 | 戊 | 丙 |
問題は陽占を作成するときです。十大主星を決める際に蔵干から一つを選択するところが問題です。陽占は次の表のようなものですね。
主星1 | 従星1 | |
主星4 | 主星3 | 主星2 |
従星3 | 主星5 | 従星2 |
十二大従星の1から3は日干と順に年月日の地支で決まりますから節入り時刻との関係はありません。
十大主星の1と5も日干と順に年月の天干で決まりますから節入り時刻と関係なく決まります。
問題は十大主星の2,3,4です。これらは順に人体星図において東方、中央、西方を占めるもので占いをする上で鍵となる星です。これらは日干と順に年月日の蔵干で決まります。また一般に十大主星の2,3,4は中心の3を自分として水平的な関係を見るのに用いられます。特に3は中心星と呼んで占いの根幹をなします。
陽占を求めましょう。まずは誕生時刻が節入り時刻の午前2時24分より早い場合は次のようになります。
禄存星 | 天将星 | |
貫索星 | 龍高星 | 司禄星 |
天南星 | 牽牛星 | 天堂星 |
次に遅い場合は次のようになります。
禄存星 | 天将星 | |
龍高星 | 車騎星 | 司禄星 |
天南星 | 牽牛星 | 天堂星 |
中央と西方の星が全く違いますね。
種明かし
ではなぜこの人の陽占は節入り時刻と誕生時刻の関係で大きく変わったのでしょうか。
それは陰占の日干支の未、月干支の辰に秘密があります。この二つとも節入りから9日間は順に初元の丁、乙ですが、10日目から3日間はそれぞれ中元の乙、癸に変わります。それに伴って十大主星の3,4が変わったのでした。そう、この人の誕生日が節入りから9日目だと言うことに起因しています。
切り替わりは次のようになっています。
初元 | 中元 | 本元 | |
---|---|---|---|
未、辰 | 節入りから9日間 | 10日目から12日まで | 13日目から次の節入り日まで |
この人の場合、誕生時刻が節入り時刻より前なら日干の丁と節入りより9日間の範囲に入るので初元の丁、乙からそれぞれ貫索星、龍高星がでて、節入り時刻より後なら10日目から3日間の中元である乙、癸から龍高星、車騎星がでる訳です。
頭の良い方はお気づきかも知れませんが、実は中元、本元との切替日である2001年4月17日生まれの人も同じ理由で陽占が変わります。こちらの場合、日干支は庚戌ですが戌の蔵干も切替日が未、辰と同じパターンなんですね。
つまり誕生時刻が節入り時刻より前か後かで陽占の中央、東西の星が変わりうる人は誕生日が蔵干の切替日に当たる日の人です。
年月日の地支が子、卯、酉の三つ以外では十大主星の蔵干を決めるのに1,2回の切替があります。切替日に誕生日があたると節入り時刻より誕生時刻が早ければ切替日前のものを採用することになるし、遅ければ切替日の後のものを採用することになるわけです。分かってしまえば単純なことですね。
十二支全部の切替日については以前「蔵干の計算と節入り時刻について」に書きましたので参照してください。
節入りは概ね毎月4日から8日の間のことが多いです。そして切替日は9日、12日が多いですね。ですから誕生日が14から20日位の人の場合、十大主星の蔵干決定を慎重にやる必要がありそうです。
節入り時刻は前回のブログ「精密な節入り時刻の必要性」で触れました通り、時々午前0時0何分だったり23時五十何分だったりすることもあるので、そう言う場合にはほぼ確実に節入りより後だとか前だと判断できますね。要は節入り時刻を正しく把握しておくことが出発点だと言うことです。
結論
節入りの日付と占う人の誕生日とを考慮して十大主星選択の蔵干の切替日に当たっていないか調べることが大切だと言うことですね。切替日に当たっていたら誕生時刻と比較するか、誕生時刻が分からなければ、二種類の陽占を得て精査する必要がありそうです。
これまでに算命学と天文学は暦を通じて繋がっているという話をしてきました。その繋がりこそが算命学の根本思想である「宇宙と人とが一つである」ことを確かにするものです。
それが占技上、具体的に現れるのが節入り時刻と誕生時刻の関係による十大主星の決定です。疎かにしてはいけない問題ではないでしょうか。
節入り時刻を考慮しないで命式作成をすると間違った十大主星を得てしまう可能性があることは頭に入れておく必要があるというお話でした。とりわけプロの占い師が間違った陽占を元に占いを立てるということはあってはならない話ですね。