六十花甲子の計算

投稿者: | 2017年9月2日

六十花甲子とは10種の幹、干(十干)と12種の枝、十二支を組み合わせて六十通りのペアを作って規則的に並べたものです。干にも、十二支にも陰陽五行に基づいた性質が割り当てられています。

いまでも十二支の方は申年、丑年などはよく使いますが、十干の方、甲(きのえ)とか癸(みずのと)などはあまり使われなくなりましたね。

東洋では暦に六十花甲子を使います。年月日、それぞれに六十通りのうち一つを当てはめます。

六十花甲子は具体的には次のような組み合わせです。左側の数字1の甲子に始まって60の癸亥で一巡りです。一巡りすれば最初の甲子に戻ります。六十歳を還暦と言うのもこの六十通りで一巡りということに由来しています。

 

1

甲子 11 甲戌 21 甲申 31 甲午 41 甲辰 51 甲寅

2

乙丑 12 乙亥 22 乙酉 32 乙未 42 乙巳 52 乙卯

3

丙寅 13 丙子 23 丙戌 33 丙申 43 丙午 53 丙辰

4

丁卯 14 丁丑 24 丁亥 34 丁酉 44 丁未 54 丁巳
5 戊辰 15 戊寅 25 戊子 35 戊戌 45 戊申 55

戊午

6

己巳 16 己卯 26 己丑 36 己亥 46 己酉 56 己未
7 庚午 17 庚辰 27 庚寅 37 庚子 47 庚戌 57

庚申

8 辛未 18 辛巳 28 辛卯 38 辛丑 48 辛亥 58

辛酉

9 壬申 19 壬午 29 壬辰 39 壬寅 49 壬子 59

壬戌

10 癸酉 20 癸未 30 癸巳 40 癸卯 50 癸丑 60

癸亥

 

この六十花甲子をコンピュータプログラムなどで取り扱うためにどうしたら簡単なのか、考えてみましょう。

まずは十干です。

甲に振られている番号は{1,11,21,31,41,51}

乙に振られている番号は{2,12,22,32,42,52}

丙に振られている番号は{3,13,23,33,43,53}

中略

癸に振られている番号は{10,20,30,40,50,60}

 

各干に振られている番号に共通していることは「10で割ったあまり」です。甲から1,2,と9まで増えていき最後の癸で0になります。

 

対応関係をまとめると次のようになります。

1 2 3 4 5 6 7 8 9

0

 

十干のコンピュータでの計算にはこの数字を使えば良さそうですね。

 

次に十二支です。分かりやすさのために表を改めましょう。

 

1

甲子 13 丙子 25 戊子 37 庚子 49 壬子
2 乙丑 14 丁丑 26 己丑 38 辛丑 50

癸丑

3

丙寅 15 戊寅 27 庚寅 39 壬寅 51 甲寅
4 丁卯 16 己卯 28 辛卯 40 癸卯 52

乙卯

5

戊辰 17 庚辰 29 壬辰 41 甲辰 53 丙辰
6 己巳 18 辛巳 30 癸巳 42 乙巳 54

丁巳

7

庚午 19 壬午 31 甲午 43 丙午 55 戊午
8 辛未 20 癸未 32 乙未 44 丁未 56

己未

9

壬申 21 甲申 33 丙申 45 戊申 57 庚申
10 癸酉 22 乙酉 34 丁酉 46 己酉 58

辛酉

11

甲戌 23 丙戌 35 戊戌 47 庚戌 59 壬戌
12 乙亥 24 丁亥 36 己亥 48 辛亥 60

癸亥

 

子に振られている番号は(1, 13, 25, 37, 49)

丑に振られている番号は(2, 14, 26, 38, 50)

寅に振られている番号は(3, 15, 27, 30, 51)

中略

亥に振られている番号は(12, 24, 36, 48, 60)

 

各支に振られている番号に共通していることは「12で割ったあまり」です。こちらも表にまとめると、次の表のようになります。

 

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

0

 

十二支のコンピュータでの計算にはこの数字を使えば良さそうですね。

 

年干支を求めてみましょう。

例えば2017年(注意:今の暦で2月の節入りから2018年の1月の節の終わりまで)は丁酉ですから34番、10で割ると4あまり、12で割れば10あまります。実用的には2017を10で割ったあまり7と12で割ったあまり1とのずれを考慮すれば良いですね。

それは次のような表にまとめられます。

10で割った時

西暦を割ったあまり

4 5 6 7 8 9 0 1 2

3

十干の番号

1 2 3 4 5 6 7 8 9 0
十干

 

12で割った時

西暦を割ったあまり

4 5 6 7 8 9 10 11 0 1 2 3

十二支の番号

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

0

十二支

 

2020年は10,12で割ったあまりがそれぞれ0,4ですから六十花甲子は庚子と計算できるわけです。1999年なら9、7ですから己卯と計算できます。最初に書いたように年干支が適用されるのは現在の暦で2月にある節入りから翌年の2月の節入り直前の範囲であることに気をつけてください。

次に月の干支を求めてみましょう。

現在の暦でも12月が子、1月が丑、と十二支の方は決まっているので、年干支とはちょっと違ったやり方で求めてみます。

当月の干支(カレンダーなどで調べられます。)が上記の表でどの干支になり、何番の数に相当するかをまず調べます。2017年10月節入り後なら庚戌で番号は47番です。この月は2017×12+10ですから西暦になって24214か月目ということですね。60で割ると403余り34です。47とは13の違いがあります。この13という数字が鍵です。

東京オリンピックは2020年の7月24日に始まるそうです。節入りは概ね月の初旬にあるので24日ともなれば、この日は7月節です。2020×12+7=24247=60×404+7で余りの7に13を加えて20番目、癸未となります。13を加えた値が60を越えてしまう場合にはその値から60を引いたものを用います。

日にちの干支を求める方法には日本などで通常用いられているグレゴリオ暦とは異なるユリウス暦を使います。うるう年がなく、1年の長さが一定なので天文学では都合がよく、広く用いられているものです。長くなったのでこれはまた別の項目で書きます。

ここで使った考え方は整数論の基礎の一つ、剰余類というものです。

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